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剣の精神誌

甲野善紀,著『剣の精神誌―無住心剣術の系譜と思想』(増補改訂版)を読み終える。思いっきりマニアックな内容だけれど、僕なりに得るものはあった、というより大変におもしろかった。

この本は、「一千回を超える他流との試合に一度も敗れなかったという桁外れの記録(時代は違うが武蔵でさえ六十余度)を持っていた剣客」なのに「日本の剣術史のなかで抹殺されたに近い扱いを受けてきた真里谷円四郎(無住心剣術三代目)という異端の天才剣客の成立の過程と、その背景に焦点を当てて、世界に類をみない剣術を骨格とした、日本の「武」の精神文化史」について書かれているのだけれど、、、いやー、おもしろい。

「剣術とはただ人に勝てばいいというものではない。生命をかける大事に直面した時、真に自分自身が納得できる決断と行動をとれるようにする術である」

という(上泉伊勢守の思想を受け継いでいるように思われる)佚斎樗山の主張とか(その樗山の『猫の妙術』も素敵)。

というわけで(?)、これからも甲野さん(とその息子さん)に期待。