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ミュジミサイル

YCAMでの『渋谷慶一郎 LIVEコンサート/musimissile – ミュジミサイル -』については、そんなに期待していなかった僕だけれど、このライブは、とても美しく、刺激的な時間(空間)となった。

「ピアノ+コンピュータ(+映像による同時多層的空間アンサンブル)」という形態というと、坂本龍一+アルヴァ・ノト(カールステン・ニコライ)が有名だと思うのだけれど、何が違うかというと、まず、渋谷さんが弾くピアノが既存の曲を弾いているということ。しかも、サティとかケージとかブラームスとかバッハ、そして渋谷さん自信の曲。そして、コンピュータ群の音がサラウンドであること。

最初のサティでは、突然の暴力的な電子音に、さすがに違和感もあり、メチャグチャにしか思えなかったのだが、2曲目(2曲目もサティ)以降は、逆にその違和感が心地よくなる。会場全体に漂い、ときには襲いかかってくる電子音、その中に凛としてあるアコースティックなピアノ音。暴力的なノイズにかき消されようと、そこに存在する確固たる名曲よ。美しい。

鬱蒼と茂るジャングル(電子音)のなかで、獲物(ピアノ)を見つけ、ロックオンし続ける快楽に通じるのかもと思ったり。

それにしても、良いサラウンド空間だった。(特に、evalaさんのソロがよかった。)