装飾と犯罪
ここ1ヶ月くらい集中と拡散が続いていて、ちゃんと本を読むことができないでいたので、昨日は久しぶりに時間を作って、じっくりと本を読んだ。秋田道夫さん推奨の『芸術としてのデザイン』ブルーノ・ムナーリ,著と、アリメさんにお借りしている『装飾と犯罪』アドルフ・ロース,著を読み終えたのだけれど、両方とも含蓄ある興味深い内容だった。
『芸術としてのデザイン』は、「それが“美しい”のは、まさにそれが正しいからである」という言葉だけでもお腹いっぱいな感じだけれども、僕としては、ビジュルアル・デザイン、そしてグラフィック・デザインの章が確認も含めてとても勉強になった。あと、「自然はその全部であって、その一瞬ではないのである」とか「わたしたちは必ず何かを“感じ”る。それがわたしたちの手を動かすのだ」かな。
『装飾と犯罪』は、僕も過分・無意味(意味の転換的)な装飾性(例えばコンクリート打放し風壁紙など)には怒りを通り越して諦めも通り越して笑うしかなかっただけに、ある意味「そうだ! そうだ!」という感じで(論理補強的に)読み進みつつ、だがしかし、ある種の啓蒙的な発言が多いロース氏の言動には、もっと客観性を持って接しなければ、昔の過ちをもう一度繰り返してしまいそうだと、ちょっとびびる。僕は影響を受け過ぎるきらいがあるのだ。
アドルフ・ロースさんについては、この本を読むまでは、「なんだかおいしそうな名前ですね」というくらい全然知らなかったわけだけれども(笑)、僕好みの「才能とストイックさ」持った御仁であるようだ。(こういう人は、カーサとかには出てこないわな。)