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Archive: Diary

掃除

そうか、これは、高橋悠治さんの言葉だったのか。

ともかく昔の中国のことわざで「何かものごとを始めるには、まず、部屋を掃除しなければならない。部屋がからになると、太陽の光が入ってくる」というのがあった…。

InterCommunication No.24(1998)より抜粋。クセナキス×高橋悠治×伊東乾「存在・偶然・忘却」からで、クセナキスの「ものを忘れれば、意識はより自由になる。それで、頭を記憶から開放するんだ(笑)」発言に対する悠治さんの同意的回答。(クセナキスのその後を考えると、笑うに笑えない発言ですけどね。)

それにしても、勢いがあった頃の InterCommunication は面白い。

30

土曜は、Afterhours さん宅にて、おいしく食し・話し、日曜は、サティのピアノ曲全集を聴きながら読書。そんな幸せのなか、僕は30歳になった。

下のイリヤ・プリゴジンさん(物理化学者)のお言葉は、偶然パラパラと見返すことになった InterCommunication No.23(1998)からの抜粋。浅田彰さんとの対談で、彼の言葉にすごく惹き付けられる。

現代美術について言えば、ピカソよりもカディンスキーからロスコに至る抽象絵画のほうに興味があります。ピカソのような画家は、批判的にではあれ、伝統的な絵画との関係を制作の軸にしていたのではないか。他方、抽象絵画というのは、直接に観察できるリアリティを超えて、もっと深い何かを見ようとする試みだと思うのです。

ということで、彼の本を読んでみることにしよう。

ANTIKNOCK

昨日は、新宿アンチノックにて『デンジャラ祭り』。弟がギターをやっているスマイル&デンジャラーズ(というバンド)企画だったということと、兄がギターをやっているマークスマンも対バンだったということで、これは見に行かないといけないでしょ。

オーディオ好きな僕と、PAの仕事をやっている弟との会話。

弟「どう、このハコ(ライブハウス)の音は?」
僕「いいんじゃないの。ただ中高域にハリ(ピーク)があるね。
  そこら辺で好みが分かれそう。」
弟「ここは、全音域出し過ぎなんだよね。音でかいし。
  低音もとんでもない。」
僕「でも、悪い低音じゃない。これでブーミーだったら最悪だけど。」
弟「客が少ないとブーミーになる傾向はあるけどね。」

打ち上げのときの、兄と(兄の)友人とのエフェクター(多分)に関する会話。

友「これを使うとどうなるんですか?」
兄「音が大きくなる。」
友「ヴォリューム上げるのと違うんですか?」
兄「違う。なんていうか、いい感じに音が大きくなるんだよ。」
友「へえー」
兄「昔の卓にいい感じに音が大きくなるツマミがあって、
  その部分がこれに入っているらしいよ。」

やっていることはちょっとづつ(もしくは全然)違うけど、兄弟皆、音が好き、音楽が好きなんだなーと、しみじみ感じいる。

Somewhere in Time

somewhere

とあるレコードを探していたら、久しぶりにアイアン・メイデンの『Somewhere in Time』に出会う。写真は、その裏ジャケの一部なのだけれど、写真中央右上に注目。そう、「浅田彰」ってあるんですよ!

なぜ、ニュー・ウェイブ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィ・メタル・バンド(長い)のアイアン・メイデンのジャケットに「浅田彰」とあるのか。

このアルバムをCDで聴いていた中学生の頃には、もちろん浅田彰さんのことなんかは知るはずもなく、ただ誰なのだろうと不思議に思った記憶があるくらい。その数年後、LPが安く売っているのを発見し、懐かしくて買ってしまったときに、このことに気が付いたのでした。

ということで、色んな妄想・憶測をして楽しむ。(浅田彰さんご本人は、このことを知っているのだろうか。)

こういう隠しアイテムっていいなあ。

読書と音楽

低飛行中。急ぐ仕事もないので、ひたすら音楽を聴きながら読書。英気を養う。

ヘヴィーな『芸術人類学』を(ようやく)読み終え、続いて、春樹さんの『スプートニクの恋人』と『アフターダーク』を久しぶりに読み返す。そして、この2冊の(僕のなかでの)評価は逆転する。

あるアーティストのある作品に感銘を受けると、他の作品にも同じ種類の感動を求めてしまうというのは往々にしてあると思う。確固としたスタイルのあるアーティストならば、“ひとつ好き”→“全部好き”ということになりやすいけれど、作風が変化していくタイプのアーティストの場合には、もっと根底にある“主張”のようなものに共感がないと、興味を失いがちになり、もっと言うと“失望”してしまう。

音楽。一昨日はひたすらクラシック。クラウディオ・アラウの弾く『ワルトシュタイン』から始まり、リヒターの弾くシューベルトのピアノ・ソナタ13、14、16、そして、4つの即興曲。『ワルトシュタイン』の(ジャズみたいな言い方ですが)テーマに戻る前の一音に心震え、シューベルト独特の“強度”に惹かれ続ける。そして、昨日はひたすらジャズ(フュージョン)。

うれしいことに、ここ数日間、音がとても良い。引き戸の障子部分(2枚)にフェルトを貼ったからなのか、スピーカーが小慣れてきたからなのか、それとも、単に暖かくなってきたからなのかは分からないけど、とにかく良い。

良いこともある。