節約のため、CDはなるべく買わないようにしているのだけれど、SACD(Super Audio CD)だと、「つい」買ってしまうんだなー。
何ヶ月か前に、human record のK君から何枚かのCDを借りたのだけれど、そのなかで最もお気に入りだったのが、CAN『Future Days』。
その独特の「浮遊感」、前面に出て来ない「か細く、儚い」ダモ鈴木のヴォーカル。プログレなんだろうけど、僕の苦手な大仰さはない、なんというか「ソフト・プログレ」という感じ(ただ好みなだけなんじゃないのという噂もある)。約20分ある「Bel Air」という曲にしても、プログレにありがちな単に冗長な曲ではなくて、アンビエントな感じで静かに始まり、やがて混沌へと向かい、収束し、また静かに始まり、やがて混沌へ、、、という繰り返し(簡単にいうとね)が、なんとも心地いい。
もう一枚は、オーディオベーシック誌で、渡辺亨さんが書かれていて気になっていた、Kip Hanrahan『Beautiful Scars』。予想通りの大人な濃密系(NYラテン)音楽。ただ、ヴォーカルがちょっと好みではないのが僕的にはおしい。うまくて(あまり)個性がないヴォーカルよりは、少しぐらい下手でも、個性のある声の方がぐっと来るんだなー。
両者ともある程度良い音で聴かなくちゃ、(その複雑性ゆえに)彼らのやっていること、やりたいことが分からないじゃないかなーと思う。つまり、SACDでリリースされてよかったということ。
良い音を要求する音楽もある。
昨日、暑くて何もやる気がせず(もちろん最低限の仕事はしてますよ)、ボーッとけだるい午後を送っていたら、うちの先生からメールが届く。「今夜、リキッド行きませんか?」と。節約のため、泣く泣くライブ行きを断念していた僕に、一筋の光明が!
というわけで、アドリアーナ・カルカニョット+モレーノ+ドメニコ+カシン(長い!)のライブを観に、いざリキッドルームへ!
結果から言うと(というか行かなかったことを考えるとゾッとするほど)、楽しく刺激的なライブだった。知的にアート、クールさのなかの情熱、そしてユーモア。緊張感が漂いながら、何かリラックスした、そんな(どんな?)ライブ。
僕は、基本的に「踊る」ためや「歌う」ために音楽は聴かないし、あまり求めていない(といっても少しは踊ったり歌ったりしますよ)。音と音や、音のレイヤー間での関係性、リズムの構造(というようなもの)に感じる構成美や偶有性、そして「音」そのものに興味があるように思う。もしくは、圧倒的なもの。身動きができないぐらいに圧倒的に酔いしれるもの。
今回のライブは、前者的な興味が満足させられたわけで、次は、後者、例えば、カエターノの歌声が聴きたいなーーと、強く思うのだった。(カエターノの場合は両者の性質を持ち合わせているかも)
それにしても、モレーノとドメニコの2人でパンディーロ→2人でMPCの流れには、見た目のユーモアさとは別に、なんだかもの凄いものを見た・聴いたような気がした。
特集「続・クラシック音楽と本さえあれば」に惹かれ、表紙は、アンナー・ビルスマかと驚き、さらに、以前、すごく面白かったと書いた、NHKのETV特集『言葉で奏でる音楽 〜吉田秀和の軌跡〜』での、吉田氏と堀江敏幸氏との対談の続きもあったので、季刊誌『考える人』を買ってみた。
(ちょろちょろと他のページも読み進めると、Oさんが書いてらっしゃったのは、この雑誌のことだったのか(!)とようやく気付く。)
ビルスマさんのお宅は素敵だなーと思いつつ、音楽と評論、というより、芸術と評論、知性と感性とかいうこと(かな)を考える。
日曜、J-Wave の SAUDE! SAUDADE… にて、「モレーノ+ドメニコ+カシンをクローズアップ」ということだったので、寝室で寝転がりながら聴いていたのだけれど、どうも BOSE 君の低域が過剰且つ不明瞭なんだなー(現行のモデルはそんなことないらしいけれど)。
ということで、オーディオマニアな僕としては、この音は許せないので(笑)、セッティングを見直すことに。結果、上の写真にあるように、スパイク(円錐形のもの)を底面に付ける。ウッドブロックでもよかったのだけれど、スパイクの方がよりシャープな方向性にシフトするのだなー。
設置(接地)面との関係(強度・面積・距離…)は、オーディオにとって非常に重要なのだ。
なのだ。
ここ一週間くらいのメモ。僕にとってブログとは、メモのようなものかもしれない(だから、あまり真剣に受け止めないでね)。
建築家のアリメさんも書かれていたが、NHKのETV特集『言葉で奏でる音楽 ~吉田秀和の軌跡~』が非常に面白かった。比喩表現による的確(なんですよね?)な評論に加えて、若き音楽家の育成に力を注ぐ吉田氏。これこそが評論家のあるべき姿ではないかと。(勝見勝さんは、デザイン界の氏のような存在だったのかなと思ったり。)
80年代に来日したホロヴィッツのことを「ひびの入った骨董」と形容されたのが最も印象的。
NHKといえば、『YMOからHASへ 高橋幸宏+坂本龍一+細野晴臣 音楽の旅』も面白かった。再結成的にはほとんど興味はなかったのだけれど、ライブでの「CUE」がもの凄くいい感じ。なんというか“引きの美学”というか。思わず、RYDEEN79/07 を iTunes Store で買ってしまう。
テレビは、『熱中時間』(笑)も含めて、やはりNHKが一番面白いと感じる。(発動機の音をサンプリングしたいぞ!)
音楽。テレビで偶然見た、ジム・ジャームッシュ,監『ブロークン・フラワーズ』。そこに流れていた妙に懐かしいような、怪しいような音楽が気になり、サントラを購入(本当は、キップ・ハンラハンの新作を買おうと思っていたのだけれど、発売延期になってしまったのだった)。僕が気になっていたのは、エチオピア出身のマルチ器楽奏者&作曲家、ムラトゥ・アスタトゥケの音楽だった。次は『Ethiopiques, Vol. 4: Ethio Jazz & Musique Instrumentale, 1969-1974』を買うべしだな。怪しくて切ない。
同居人が、ジョニ・ミッチェルの『BLUE』を購入。ライノが今年リリースした180グラムのLP。(僕も)ずっと欲しいと思っていたところ、オーディオベーシック誌にこのリマスターは秀逸とあったので。肝心の音は、鮮烈という感じかな。オリジナル盤や日本盤と比較試聴してみたい。
後は、またまたアリメさんからお借りした、エイドリアン・フォーティー,著『言葉と建築』を、途中まで斜めに読んでいたのをリセットし、最初から丁寧に読み始める。言語の力を見直し始める。僕も普通にモダニズムの影響を受けているだけなのか(?)。
以上(かな?)。
あ、茂木健一郎さんの『偶有性の自然誌』の授業(僕は音声ファイルでだけれど)も面白かった。「未来に適応することことが脳(記憶)の唯一の目的」ですか。なるほど。(もちろん内容のほとんどはさっぱり分かりませんが)
冗長美論も興味深いですな。