『事典 世界音楽の本』、「3.3.2.2 聴衆の変容」より抜粋。
音楽は「鳴り響きつつ運動する形式」にほかならず、それを捉えることによってのみ精神的な価値あるものになるとし、それを感情や快と結びつけたりする聴き方を邪道として排除しようとしたハンスリックの音楽美学思想はその代表である。
音楽美学思想、という思想があったのか。僕がある種の音楽を聴くときは、このモードかもしらん。
かつてアドルノは『音楽社会序説』の中で聴衆をいくつかに分類したが、その際、楽曲全体を把握し、構造的に聴取できる理想的な聴衆と対照的な位置に、音楽を娯楽としてしか聴かず、細切れの表層的な刺激を受け取る散漫な聴取に終始するタイプの聴衆を挙げ、批判した。
うーん、でも後者的でもあるなー(笑)。
しかしながら、“今”を考えると、この「純粋鑑賞」というような聴衆は消えつつあるように感じる。音楽が副次的であった長い長い前の時代・文化の在り方に戻りつつあるというか、もともとそういうものだったというか、幻想だった、というか。
鼻歌=iPod、労働歌=BGM、祭り=ライブ(やクラブ)、というようなのが本来的な音楽の在り方なんだよなー、というか。
下の下のエントリーで書いた iPod touch + Remoto ですが、実は、書いた次の日から使うのをやめていまして。
理由は複数あって、ときどき「音が途切れる」ことや「ノイズが入る」こと、iPod touch の「バッテリーの消耗が激しい」こと、など。そして、一番の大きい理由は「音質がよくない」こと。
Remoto を使うことで音質が悪くなるのか、についてはよく分からないけれど(だいたいノイズが入ることが怪しいけれど)、そもそも、僕の仕事時のBGMは、BGMではない(!)、というインポータントなことに気が付く。
電話の度に「音を小さくしなきゃ」というぐらいの音量で聴いているわけですよ(笑)。バックグラウンドじゃなくて、(音質を含め)ちゃんと聴いちゃっているわけです。
「良い音楽」を「良い音質」で聴く → 気分高揚 → 良い仕事ができる、という図式。僕の場合。
メンタルな部分は、すごく仕事に影響する(と思う)。
iPhone 3G じゃありません、iPod touch です。しかも、同居人のです(笑)。表示されているのは、touch 内の iTunes のプレイリストではありません、ここ(座っている場所)から 4m ほど離れたところにある G4 Cube のプレイリスト。
そうなんです、遠隔操作できるんです(!)。
iPhone は月額料金がちょっとあれなので、買えないので、でもちょっと悔しいので(?)、App store を見ていたら、Remoto を発見(!)。しかも、無料じゃないですか(!)。
ということで、さっそく(勝手に)インストールして試用中。ネットワーク上の iTunes を遠隔操作しまくり。
今までは、例えば電話がかかってくる度に、(アンプのリモコンがここからは届かないので)席を立ってちょいと歩いてリモコンで音量を下げる(電話が終わればまた同じような作業)、ということをやっていて、一時期本気で Apple Remote Desktop を導入してやろうかと思っていたほど(?)面倒だったのだけれど、この問題も touch + Remoto のおかげで無事解決。
再生アプリが iTunes に限られるけれど、仕事中のBGMだから問題ないし(ないか?)。
とにかく、よかった、よかった。
上の写真、「USB MODE」という表示のとなりで点滅している「*」が、TASCAMくんのインジケーターなのだけれど、この点滅速度がですね、再生アプリによって速さが違う、のです。
再生アプリ、iTunes < QuickTime < VLC < Play < Cubase LE という感じに(ウチの再生環境では)“音”が良くなっていくのだけれど、おもしろいことに、“音”の良さに比例して、点滅速度もだんだん速くなっていく(!)、のです。
この相関関係によって、“耳”で感じていた再生アプリの優劣に、裏付けができた、のかも、というか。
(ちなみに上の写真の点滅速度は VLC での再生時と同じくらい)
しかしながら、“音”の良さというヤツは難しいもので、例えば、VLC と Play だったら、確かに Play の方が情報量は上だけれど、音が(ウチの場合)なんだか拡散に向かいがちなので、もうちょっと締まった音で聴きたい、と感じるときは VLC を使ったり、していたり。
このように、まるでCDプレーヤーを変えるように、再生アプリで“音の違い”を楽しめるのは、PCオーディオの良いところのひとつかもしれない。
おっと、モレーノ・ヴェローゾ、ソロライブ、東京公演(@プラッサ・オンゼ)を予約しなきゃ→予約完了。これで、8/16、17、19日と、モレーノを観ることになる。うふふ。
ベックのニューアルバム、発売されましたねー。同居人が大ファンなので、ウチでは大ごとなんです(笑)。
というわけで、月曜から10回以上(!)も聴いている『MODERN GUILT』ですが、うーん、良いアルバムなんじゃないでしょうか。主観/客観とか、古い/新しいとか、とかとか、そういう色んなファクターが匂いつつも、“超然”としている感じが。
特に、4曲目のタイトルトラックと、5曲目(チェロでのリフ(?)がとても好み)がお気に入り。